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2017.07.07

ポンピリカ美術館

数年前に故郷に帰省した際、友人に生まれ故郷北見近郊の風景を描いている画家さんはいないか尋ねたところ、丁度その時ある一人の版画家の個展をやっていると教えてもらいました。 ワクワクしながら北見市内の会場に行きました。その画家さんは景川弘道さんという方で、沢山の作品を遺されていましたが、私は遅ればせながらその時に初めて知ったのでした。

作品は何気ない日常の生活から、大自然に至るまで、作家の愛情溢れる眼差しが感じられるもので、どれも素敵でした。 普段あまり自然のない所で暮らしているので、特に風景画(版画)はどこか懐かしく、心が洗われるような気持ちになりました。 会場にいらした景川さんの娘さんがいろいろ説明してくださいました。 それらの作品は「ポンピリカ美術館」という美術館が所蔵していることを知りまた。 「ポンピリカ」とはアイヌ語で小さくて美しい(可愛い)と言う意味です。

帰省した際に是非その美術館を訪れたいと思っていましたが、このたびやっと念願叶って訪れることができました。 場所は北見の街中に、帰省した時には時々通る道のすぐ側にありました。約束の時間に伺い、美術館では景川さんのお二人の娘さんが待っていて下さいました。

入り口にはロシア語でも書かれた表札が掛かっていました(生前ロシア語を独学で勉強されたとのことでした)。 景川さんのアトリエだった所を美術館にしており、中に入ると、ところ狭ましとばかり天井に至るまでの景川ワールドに驚き、また圧倒されました。 ヨーロッパの街角の作品では、景川さん自身も作品の中に描かれていて、微笑ましい気持ちになりました。

また版画の作品と版木も見せて頂き、1枚の作品を制作する過程も理解しました。一つ一つ、それぞれの作品に感動したのは言うまでもありません。 使用していた灰皿、タバコの吸殻なども当時のままテーブルの上に置かれていて、今でもそこにいらっしゃるかのような息吹きを感じました。 姉妹お二人とも沢山お話が出来、景川弘道さんのお人柄にも接しられたようで、大変充実したひとときを過ごしました。 このような機会を与えて頂いたお二人に感謝いたします。

東京に戻ってから早速景川弘道さんの「版画・北の旅」(共同文化社)という本を手に入れ、毎日眺めています。 北海道内各地を訪れて描かれた版画が右ページに、左のページには文章が書かれおり、とても興味深く、彼の旅を想像し、時間を見つけて私もその道を辿ってみたいと思い廻らせています。

「版画・北の旅」(表紙は襟裳岬)

壁面に沢山の作品が展示されています

 

景川さんの作品とともに

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